記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部が25ansに還元されることがあります。
1. そもそもお嬢さまことばの元祖は御所ことばなのです。主として京都の御所にお勤めの女房さん達が使っていたことば(女房詞といいます)から変化しつつ使われてきたものといえます。
女房詞には当時の御所での流行のことばや、ご自分達だけの隠語もふくまれます。つまり現代の流行ことばがつかわれるのとおなじです。女房詞の内容は御所という環境とその生活行為に相応しいものでした。今とは関係ないというわけではなく、そこにはやさしく美しいことばづかいの糸口があります。そのことは流行ことばを作ったりつかったりすることの参考になります。
御所ことばは時代と共に一般化したことばもあります。そのことばは我々の生活環境にも適応して我々が好む表現である場合のものです。そして時代と共に生活環境と共に変化していきます。年配者は昔覚えた言葉の意味とつかいかたに固執し、若者は昔からの言葉を覚えるより自分たちの今を表現したい気分なのです。新しい流行ことばは急に使われ終わります。時代の変化が恐ろしいほどのスピードだからです。スピードにのることが必須とお思いでしょうけれど大切なのはご自分自身です。めまぐるしさに自分をなくさずご自分がことばを選ぶことで、ご自分の考え方と個性ができて自信が持てるようになります。
女房詞が作られるには色々な法則がありました。そのすべてはさておき(長くなりますので拙書「雅な日本語」をご参照下さい)現在、流行っております「じわる」をお嬢さまことば風にいうとすればどうなるかを考えて見ましょう。
流行ことばを作りたい方、言い換えて、べつなものにして遣いたい方のご賛同いただけたら嬉しく思います。
2. では御所ことばの手法でなぞっていきましょう。まずその一つの「御」「お」は現代でもよくつかっています。省略したことばに「お」をつけたり、言い換えて「お」をつけたり省略したことばを重ねて「お」を付けたりします。もちろん普通に「お」をつけることばはたくさんあります。これをつかうとすれば「おじわじわ」と。長すぎて今風ではないかもしれません。
3. 「お」からはなれてみましょう。省略することは当然たくさんありますし、省略したことばをさらに重ねる(畳語)ものもあります。語尾に「もの」とつける「ものことば」語尾に「もじ」とつける「もじことば」などというのも御所ことばの特徴と言えるでしょう。例えば「おしわもの」は「梅干し」です。「ほそもの」は「おそーめん」。「あまもの」は「スィーツ」「えもじ」は「海老」。「すもじ」は「おすし」。「もじ」をつけると「じわもじ」。ものをつけると「じわもの」となり、「じわる」じわじわとくるの中抜きより聞こえが良いと感じませんか。
「じわる」は聞き間違えて「いじわる」と聞こえては大変です。じわもじは「じ」が2つはいりますから「じわもの」の方が語呂が良いでしょう。
4. 全く言い換えるのは「いとひき」…お解りになりそうですね。「納豆」です。流行ことばはすぐ消えますが、ことば遊びは仲間内の楽しい行為ですから大いに素晴らしいのですが、優しく美しいことばをつくりだせればよい日本語としてのこるでしょう。
まとめ
「じわる」をお嬢さまことばにすると…!?
●おじわじわ
●じわもの
●いとひき
―なんだかおじわじわいたしますね! いまどきの言葉もとても便利ですが、たまにはお嬢さまことばに言い換えて遊んでみては?
関連記事
>>お困りの時は、お黙りで! 翔んでお嬢さまことば講座6
>>「雅な日本語」をWEBでチェック
PROFILE●加藤 ゑみ子(かとう・えみこ)さん●
インテリアアーキテクト 株式会社空間構造代表、NPO法人にこにこソサエティーアドバイザリー。住宅、インテリア設計、家具その他デザインやテーブルセッティングなどを手がける。衣食住全般の研究における著作は、「お嬢さまことば速習講座」「お嬢さま生活復習講座」「和のルール」「美しく暮らす36の知恵」「収納のルール」「美的のルール」「最上級のライフスタイル」「淑女に見える気品のルール」「雅な日本語」「手軽にできる丁寧な食生活」「盛り付けのセオリー」「上質なものを少しだけもつ生活」など多数。新刊「自分を躾る」がディスカヴァー・トゥエンティーワン出版より発売中。